偽りのノンフィクション作家 猪瀬直樹の肖像
偽りのノンフィクション作家 猪瀬直樹の肖像
林 洋

定価: ¥ 1,325
販売価格:
人気ランキング: 462495位
おすすめ度:
発売日: 1996-03
発売元: チーム
発送可能時期:
哀れな御用作家の正体
猪瀬直樹が道路公団問題の時に政府委員になり、小泉内閣の人気取りのために策動し、いかがわしい行動をしたことは良く知られ、問題として取り上げられているが、他の分野でも卑しい行為をしていたのであり、現実にその手口を明らかにした点では、日本人にとって必読の本である。彼がが権力にすりよっていることは、洞察力のある人には既に見抜かれていた。彼の出世作である「ミカドの肖像」(小学館)を書評した記事がある、藤原肇の「アメリカから日本の本を読む」(文芸春秋)には、プリンスホテルの話について取材したのが、猪瀬でなかったことが示唆されていたが、それを追跡したメディアは存在しなかったので、猪瀬は生き残って小泉の手先として活躍した。日本ではノンフィクションと名乗る作家は、フィクションをでっち上げるのであり、その典型が猪瀬と共に御用ドキュメンタリー作家として稼ぐ大下英治であり、むしろ著者の林洋のような独立系の著者でなければ、真実を書けないのではないかと思う。そうしたことを思うと、小泉内閣の正体を徹底的に暴露している、アメリカに住むという藤原肇の「小泉純一郎と日本の病理」(光文社)の中に秘められている爆弾の威力は、この「偽りのノンフィクション作家・猪瀬直樹」を読むことで、相乗効果以上のものをもたらすのではないかと思った。
あるノンフィクション作家の正体
交通事故で損壊した車輌の一部や道路のタイヤ痕等々から事故当時の状況を再現していく交通事故鑑定は、判断に恣意性を極力廃し、事実と論理のみをこつこつと積み重ねていく理系の世界である。
ところが、禁物のはずの恣意性を鑑定作業に次々にもちこんで、クライアント=事故加害者を裁判で有利に導く悪徳鑑定人S氏。本来なら刑務所行きとなるべき死亡事故の加害者が執行猶予で済んでしまったりしているという。被害者や遺族の気持ちを思えば腸が煮えくりかえる思いがするが、このあと被害者たちは猪瀬直樹によってさらに蹂躙されていく。文系の、つまり情緒と恣意性が幅をきかせる世界の住人である猪瀬、よせばよいのに交通鑑定という怜悧な論理の世界にずかずかと踏み込んで、わけもわからぬままS氏の詐術にとりこまれていく。
本書はS氏という詐話師を迂闊にも賞賛し得意げになっている偽りのノンフィクション作家、猪瀬直樹へのカウンター・パンチである。報道の世界やライターをめざす若い人にはぜひ一読していただきたい。一つには、本物の事故鑑定のプロである筆者によるS氏鑑定批判から、恣意的な思考を廃し事実と論理を積み重ねて真実をあぶりだそうとするプロの姿勢を学んでほしい。一つには、猪瀬のような偽者が一向に淘汰される気配のないこの国のマス・メディアの質的荒廃ぶりに気づいてほしい。
猪瀬の正体をよく知るには、櫻井よしこ氏の『権力の道化』も合わせ読まれたし。
マスコミ志望者必読の本:「まず常識を徹底して疑え」が身につく
これは現在の日本が大不況に陥ったきっかけがわかることのできる本である。とても優れた頭脳を持つ、林洋氏が、自らの裁判例を「でたらめに」文春「ニュースの考古学」で猪瀬に批判されたことをきっかけに
偶然知る、猪瀬の虚偽に満ちたマスメデイア操縦術。マスコミの巨悪に
敢然と立ち向かう著者林氏は、猪瀬と文春の「絶対に過ちを認めない態度と偽善」に憤り、「これでは将来多くの無実な人達が被害に会ってしまう」と出版を決意する。これを読むとわかるのは、いかに、報道が正反対に歪められるのかという具体例である。マスコミ業界を目指す人は必読である。知的に刺激的で、とても面白い。世の中の常識を覆す。読んだ後に世界観が変わり、なぜ猪瀬案の構造改革をやればやるほど不況になり破壊的な結果になるのかも理解してしまい、慄然とするにちがいない。こういう本は滅多に出会えない。1冊はもっておいた方が良い。貴重で論理的でかつアカデミックであり、とても優れた本である。
林 洋

定価: ¥ 1,325
販売価格:
人気ランキング: 462495位
おすすめ度:

発売日: 1996-03
発売元: チーム
発送可能時期:

猪瀬直樹が道路公団問題の時に政府委員になり、小泉内閣の人気取りのために策動し、いかがわしい行動をしたことは良く知られ、問題として取り上げられているが、他の分野でも卑しい行為をしていたのであり、現実にその手口を明らかにした点では、日本人にとって必読の本である。彼がが権力にすりよっていることは、洞察力のある人には既に見抜かれていた。彼の出世作である「ミカドの肖像」(小学館)を書評した記事がある、藤原肇の「アメリカから日本の本を読む」(文芸春秋)には、プリンスホテルの話について取材したのが、猪瀬でなかったことが示唆されていたが、それを追跡したメディアは存在しなかったので、猪瀬は生き残って小泉の手先として活躍した。日本ではノンフィクションと名乗る作家は、フィクションをでっち上げるのであり、その典型が猪瀬と共に御用ドキュメンタリー作家として稼ぐ大下英治であり、むしろ著者の林洋のような独立系の著者でなければ、真実を書けないのではないかと思う。そうしたことを思うと、小泉内閣の正体を徹底的に暴露している、アメリカに住むという藤原肇の「小泉純一郎と日本の病理」(光文社)の中に秘められている爆弾の威力は、この「偽りのノンフィクション作家・猪瀬直樹」を読むことで、相乗効果以上のものをもたらすのではないかと思った。

交通事故で損壊した車輌の一部や道路のタイヤ痕等々から事故当時の状況を再現していく交通事故鑑定は、判断に恣意性を極力廃し、事実と論理のみをこつこつと積み重ねていく理系の世界である。
ところが、禁物のはずの恣意性を鑑定作業に次々にもちこんで、クライアント=事故加害者を裁判で有利に導く悪徳鑑定人S氏。本来なら刑務所行きとなるべき死亡事故の加害者が執行猶予で済んでしまったりしているという。被害者や遺族の気持ちを思えば腸が煮えくりかえる思いがするが、このあと被害者たちは猪瀬直樹によってさらに蹂躙されていく。文系の、つまり情緒と恣意性が幅をきかせる世界の住人である猪瀬、よせばよいのに交通鑑定という怜悧な論理の世界にずかずかと踏み込んで、わけもわからぬままS氏の詐術にとりこまれていく。
本書はS氏という詐話師を迂闊にも賞賛し得意げになっている偽りのノンフィクション作家、猪瀬直樹へのカウンター・パンチである。報道の世界やライターをめざす若い人にはぜひ一読していただきたい。一つには、本物の事故鑑定のプロである筆者によるS氏鑑定批判から、恣意的な思考を廃し事実と論理を積み重ねて真実をあぶりだそうとするプロの姿勢を学んでほしい。一つには、猪瀬のような偽者が一向に淘汰される気配のないこの国のマス・メディアの質的荒廃ぶりに気づいてほしい。
猪瀬の正体をよく知るには、櫻井よしこ氏の『権力の道化』も合わせ読まれたし。

これは現在の日本が大不況に陥ったきっかけがわかることのできる本である。とても優れた頭脳を持つ、林洋氏が、自らの裁判例を「でたらめに」文春「ニュースの考古学」で猪瀬に批判されたことをきっかけに
偶然知る、猪瀬の虚偽に満ちたマスメデイア操縦術。マスコミの巨悪に
敢然と立ち向かう著者林氏は、猪瀬と文春の「絶対に過ちを認めない態度と偽善」に憤り、「これでは将来多くの無実な人達が被害に会ってしまう」と出版を決意する。これを読むとわかるのは、いかに、報道が正反対に歪められるのかという具体例である。マスコミ業界を目指す人は必読である。知的に刺激的で、とても面白い。世の中の常識を覆す。読んだ後に世界観が変わり、なぜ猪瀬案の構造改革をやればやるほど不況になり破壊的な結果になるのかも理解してしまい、慄然とするにちがいない。こういう本は滅多に出会えない。1冊はもっておいた方が良い。貴重で論理的でかつアカデミックであり、とても優れた本である。